脳とコンピューターのダイレクトコミュニケーション
昔々、記憶は脳にある無数の箱に1個1個格納されていくものだと思ったけど、どうも違うらしい。脳について、結構、思い込みをしてしまってることってたくさんあると思う。
今回は、自分が専門と名乗っている脳とコンピューター(ブレインマシンインターフェース)について。
面白いというか、つい先日のホットなニュースを紹介。
それがこれ▼。
これ、多分なかなか何を言っているかわからないかもしれないので、一言でまとめると、こういうことになる。
「脳の働きを計っちゃう、すげーマシーンができたよ!」
って感じ、コレが結構すごい。どれくらいすごいかをどうにか説明したいけど、なかなか出来そうにないけど、あえて、高校生活で例えるなら
「全然ぱっとしない、吹奏楽部に所属している男子高校生がいきなり、校内で1番可愛いと言われている、清楚系の桐谷美玲似の女子と付き合ったということを、朝、教室に入った瞬間に口の軽い情報通の友人からいきなり言われて、”E!MAJIKAYOOOO!”ってさけぶくらい驚く」イメージ。
さて、これが何かっていうと。
つまりは、脳の電気活動を脳の表面に貼り付けてかつ、その情報を無線で送れる。というデバイスを発表したということ。
今、脳の電気信号を計ってそれをマシーンが読めるように翻訳(みたいなこと)をして、変わりにそのマシーンがアクションをするブレインマシンインターフェース(以後BCI)というのが流行っている(と思っている)
それは例えば、ALSという病気の人(思考はできるけど、体を動かすことができない病)がその脳の情報読み取り装置をつけて、「部屋の電気をOFFに!」という事を考えると、実際にOFFになる。
というように、思考だけで、アクションできるという技術のこと。脳とコンピューターのダイレクトなコミュニケーションツールということです。
んで、その、読み取り装置が今の研究の課題となっていて、今メインで使われている”読み取り装置”はEEGというのが、まあ主流▼。
今は、それよりカッコいいの(デザイン的に)が出ていて、どんどん自分たちの生活に適応されるように開発されているんだけれども、この方法(EEG)にはデメリットがあって、それは、「脳の情報を読取る正確性が低い」ということ。
これはなぜかというと、写真にもある通り、頭皮の上に電極(まあ、装置)を置くのでどうしても頭蓋骨によるノイズが混ざるんですね(脳と電極の間に頭蓋骨があるからね、シグナルが弱くなる)。
そうすると、どうしてもしっかりとした情報を取得出来なくて、なかなか複雑なタスク(例えば、思考だけでロボットを動かす。などの多次元のマルチタスク)はできないんですね。なので、EEGではスイッチのON/OFFだったりと、シンプルなタスクしか制御できない。
というのが、これまで(というか、今の)課題で、そのために様々なデバイスが開発されているという、まさにステートオブアートな学問。
んでんで、じゃあ、頭皮の上に電極を置くんじゃなくて、脳の皮質の上に電極置いちゃえばいいじゃん。
という考えが生まれるわけです。それがECoGと呼ばれている、皮質(脳の表面)に電極を置くという考え方。
こうすることで、頭蓋骨による、シグナルの妨げが少なくなり、EEGよりかなり正確に計測ができるようになるわけです。ただ、問題点は、Invasiveな方法ということです(Invasiveって日本語でなんだろう)。つまりは、手術が必要ということ。
皮質に電極置くわけですから、頭蓋骨に穴を開ける作業が必要ですね、そして、今まではワイヤーで機械と電極を結んでおく必要があったので、頭蓋骨に穴があき、かつ電極がPlacementされている状態で、BCIを行う必要があったんです。
イメージ的にはこんな感じ▼
(Hochberg, L. R., Bacher, D., Jarosiewicz, B., Masse, N. Y., Simeral, J. D., Vogel, J., ... & Donoghue, J. P. (2012). Reach and grasp by people with tetraplegia using a neurally controlled robotic arm. Nature, 485(7398), 372-375.)
これだと、なかなか実用的ではない。なぜなら、常に頭蓋骨に穴があいているということと、ワイヤーがあるので、なかなかこのまま実用化するのは難しい、って感じだったんです。
しかし、(ここで本題にもどる)
ここで、なんとワイヤレスのECoGのデバイスが発表されたんです。つまりどういうことかというと、穴を塞いでOK,ワイヤーもなし!かつシグナルは比較的Goodということなんです。素晴らしいですね!コレは!
これで、なにが出来るかというと、つまりは、体を思うように動かせない人(ALS,パーキンソン病など)にこのワイヤレス電極を取り付けて、マシーンとのダイレクトなコミュニケーションを実現することが可能になったということ。すごいいい!
EEGのワイヤレスも次々開発されていて、いまBCIはホットです!すごく!
なので、今後も注目ですね。
いじょうー!